Anemone’s diary

イスラエルに1年間住んで猫なでてます。

天使にラブソングを



イスラエルとは何にも関係ないですが、前々から友達に書いてと言われていた映画の感想ブログを書こうと思います。

第一回目は「天使にラブソングを(原題:Sister Act 意味:シスターのフリ)」について。
皆さん1度は観たことがあるでしょうがしばしお付き合いを。

知ってるとは思いますがあらすじを。
ネヴァダのリノのカジノで歌手をしていたデロリスはひょんなことから不倫相手のヴィンスの殺人を目撃してしまう。命からがら警察に逃げてこんだデロリスは警部にヴィンスを逮捕するために法廷で証言してほしいと言われる。裁判がはじまるまでの間にヴィンスに命を狙われたデロリスは警部からサンフランシスコの修道院に身を隠せと言われ、嫌々ながら少しの間シスターとして身を潜める事になるのだが、そこのシスター達のやっている聖歌隊は大変音痴で。。。

ここからはネタバレを含むと思いますが、まぁ、そんな大した事言いません。
知ってから見た方が面白い事もあるかもしれないです。ふふ。

皆さんの何度見ても飽きない映画はなんですか?
私はこの映画なのですが、1番好きな映画は?と聞かれるといつも「エターナルサンシャイン」と答えるのですが、1番何回も見ている映画はおそらくこの映画です。
そういった意味では一番好きな映画かもしれません。

19992年公開のこの映画は私が生まれる前に作られたもので、小さい頃から金曜ロードショーを録画したものを文字通りVHSが擦り切れるまで観ました。
飼ってるカメに「ウーピー」という名前を付けたのもこれが理由です。
主演のデロリス・ヴァン・カルティエ&シスター・メアリークラレンス役を演じたウーピー・ゴールドバーグが大好きになったのもこの作品のおかげです。おかげでカルフォルニアのユニバーサルスタジオ見学ツアーは彼女のナレーション付きのバスだというだけで楽しめました。

バークレーに住んでいた頃にサンフランシスコで私自ら観光に行きたいと言ったのはこの映画の舞台となった聖キャサリン修道院だけです。感動したのを覚えています。
フルハウスの家とか見るのも面白かったけどね。

この映画で有名になった「I wil follow him」という曲は元々「愛のシャリオ」という名前で60年代に作られており、いろんな人が歌っているのですが日本だと、ザ・ピーナッツとバラエティー番組のワンナイでゴリエというキャラクターが「恋のPecori♥Lesson」という替え歌にしてCDを出してました。たしか、ダンス練習した気がするなぁ。
(最初に売れた「Mickey」は小学4年生の時に運動会の応援団で一生懸命練習して、その後教室で机どかして皆に囲まれながら先生がかちこんでくるまでずっと円の中心で踊り続けた記憶がある。。。)

ゴリエバージョンは歌詞がまったく違うのですが、もともとリノのカジノで歌手をやっていたデロリスが作った曲をシスター達が讃美歌として歌うという設定は面白く、字幕では「主について行く」と書いてある所を「Him」とそのまま歌うので歌詞を変えていない、見方からするとシスターたちが本当にそのままカジノで歌われるようなラブソングを歌っているように聞こえます。
「My Guy」という曲の方は「My God」に歌詞を変えていて、うまい事韻を踏んだまま讃美歌に変えています。

また、映画を元に作られたウーピー・ゴールドバーグがプロデュースしたブロードウェイミュージカル版の「天使にラブソングを」がヒカリエで上演された時も観に行ったのですが、沢山映画版には無い曲、無いシーンが足されていて面白く、特に過激さが増していると思われます。「Take me to Heaven」という曲はより、リノ感が盛りこまれていて90年代のブラックミュージックやソウル、ディスコチューン、R&Bといった感じ。歌詞もサビが「天国に連れて行って」という意味ではありますが、「Take me to ecstasy(エクスタシーへと導いて)」とガッツリ歌っていて、下ネタ満載すぎてビックリ。そもそもR&Bは全てセックスを歌っているとも言われていて、そこでカトリックのシスターがそれを歌うギャップが面白い。カトリックの聖職者はセックスを禁じられていて、生涯貞操を守らなくてはならないのですが、スパンコールだらけのキラキラの修道服でステップを踏みながら「Take me, take me higher!(もっと、もっと!)」と歌う姿は最高にハイテンションになります。シスター達が思っている意味と、デロリスと観客が思っている歌詞の意味が全くちがうのです。

そしてその曲を作っているのはなんとあのアラン・メンケン!アラジンやリトル・マーメイド、美女と野獣など言わずと知れたディズニーの作曲させたらヤバい人です。

この曲の詳しい考察については勝手にリンクはっちゃうけど以下のブログでご覧ください。

『Sister Act』:2種類の「Take me to Heaven」を考察 | まるこの大人の自由研究(ミュージカル・美術・ハンドメイド等)



またミュージカル版と映画版の違いはキャラクターの書き込み方。
不倫相手であったデロリスを殺そうとするマフィアのカーティス(映画版の名前はヴィンス)が歌う「When I Find My Baby」の歌詞は「絶対あいつを取り戻して落とす(恋愛としてという意味と、殺すという意味が二通りある)」と最高に甘く歌い上げますし、
デロリスを保護するエディ警部の「I Could Be That Guy」も可愛らしく、こんな風に恋されてみたいと思ってしまうくらいです。
映画ではさらっとしか出て来ない警部ですがミュージカルではしっかりとストーリーがついています。
高校時代スクールカースト底辺だったエディ警部は「スウェッティ・エディ(汗かきエディ)」というなんとも情けないあだ名をつけらていました。(スウェットとは汗という意味で、ポカリスウェットってなんだか汗を飲んでるみたいで気持ち悪いという海外の方もいるそうです。)そして高校時代に高値の花であったデロリスを今度こそ守って見せると恋に仕事に燃えています。
ウーピーが美人ではないとは言いませんが。。。ミュージカル版のデロリスはとってもお綺麗な方が演じておられました。
また、カーティスの手下が修道院に入り込むシーンが追加されており、そこでも、「俺らだったら、イケてるから欲求不満の尼さんなんて、俺らのフェロモンでイチコロだぜ」と歌うげっすいシーンがあります。最高です。

映画版のサウンドトラックもおすすめですが、ミュージカル版のサウンドトラックもありますので、どちらもおすすめです。

映画版のサウンドトラックにはDEE DEE SHARPのGRAVYという曲が入っていてキャシー・ナジミ―演じる陽気なシスター・メアリー・パトリックがサンフランシスコの酒場のジュークボックスに「この1曲だけ!」と言ってかけて踊っていた曲。グレイビーソースはつまり肉汁なのですが、たまに洋楽ではセクシーな意味として書かれます。(映画「シカゴ」ではクイーン・ラティファ演じる女性看守ママ・モートンが歌う「When You're Good To Mama(ママに良くしてくれたら)」では「If you want my gravy(もし私のグレイビーソースが欲しいなら)」と歌う部分があり、あまりのセクシーさに開いた口が塞がりませんでした)
そういった元々ある名曲も入っている所がこのサウンドトラックの魅力です。
デロリスが嫌々掃除をしているシーンでかかるFontella BassのRescue Meは私も部屋の掃除をしている時にたまにかけます。

またエンドロール時にかかるThe Isley BrothersのShoutはシスターたちにカバーされて良い感じに仕上がり、その曲を聴きながらエンドロールとピープル誌やストーン誌などの表紙をデロリスが飾っている様子やレコードのジャケットなどが流れて、デロリスとシスター達のその後が分かって楽しめます。

また天使にラブソングを2では生徒役にフージーズローリン・ヒルが出ており、これまた楽しい話なのですが、それはまた今度書こうかな。

またこの映画は言ってはなんですが数少ない吹き替え版も面白い映画だと思います。
基本的に私は映画は字幕で観る派で、理由は役者さんたちの声の演技も観たいのと、吹き替えや字幕と英語で言う言い回しの違いを楽しむためです。
しかしこの映画は小さい時に見たもので、吹き替えではじめは見ました。
今日は久しぶりに見たくなって、せっかく観返すので字幕版でみたのですが、英語ならではの面白いセリフと吹き替え版が個人的に好みの所がありました。
例えば、デロリスがシスターたちと最初にご飯を食べるシーンでは出てきた夕食を見て字幕版では「ダイエット食かなんか?」と口をすべらすのですが吹き替え版では「なにこれ犬の餌じゃん!」と暴言を吐き、断食を命じられます。
また、声質が英語版の役者さんたちにそっくり!本当に良く見つけてきたというくらいぴったりで、デロリスはウーピーの落ち着いた生かしたジョークを言う声色より少し吹き替え版の方がテンションが高い様に感じます。

デロリスが修道院を出るのが決まった時にそれを知らないシスターたちは夜中に内緒でアイスクリームを感謝の意をこめて食べさせてくれるのですが(すごく悪い事をしているみたいにテンションがあがっているシスターたちがこれまた可愛い)その時デロリスは口を滑らせて修道院からいなくなる事をほのめかしてしまいます。出て行かないでしょう?とあせるシスター達にデロリスは「私達はいつでも一緒よ」とフォローをいれますがシスターに字幕では「気になるセリフね」と返されますが英語では「ダイアナ・ロスが言ってた言葉だわ」と言われます。(ダイアナ・ロスは元シュープリームスのメンバーで、グループを抜けてソロ活動をはじめ、一人だけ売れました。3人グループってたまにそういう事があって、例えばディスティニーズチャイルドだとビヨンセだけ売れたりとかね。)
こういう違いが分かるので字幕版は字幕版で面白いです。

それから吹き替えによって子供のころには分からなかった小ネタは映画の冒頭シーンで子供時代のデロリスが小学校の聖書の授業中にシスターに「十二使徒を全部言える?」と質問されて「ヨハネパウロジョージ、あと、リンゴ・スター!」と答えます。子供の私には全然分からなかったのですが、字幕版を観てみると「ジョン、ポール、ジョージ、そしてリンゴ!」と答えています。これは英語の使徒の呼び方と日本語の使徒の呼び方の違いです。
メアリーがマリア、マタイがマシュー、マルコがマーク、ルカがルーク、テモテはティモシー、ペトロはピーター、
ジョンはJohnと書いてヨーロッパではJはYの音になるのでヨーロッパの読み方を採用した日本語読みではヨハネヤコブもジェームスとか、ヨセフもジョゼフとか。
ポールはパウロジョージはなんだろな分かんないけど聖人の名前で、

つまり、ビートルズの3人の名前は聖書に出てくる名前なのですが、リンゴ・スターだけ聖書に関係が無いんですね。そういう聖書ジョークです。

こう説明しちゃうと面白くないかもですが、アメリカンジョークって日本だとつまらないイメージがありますが、理由が分かればつまり、ダジャレです。それに日本人には伝わってない「あるあるネタ」などがあるので、私は結構アメリカンジョークが好き。

あと、大人になって観てみて、私の偏見というか心が歪んだせいもあるのかもですが、ハリー・ポッターのマクゴナガル先生で有名なマギー・スミス演じる厳格な修道院長が初めてデロリスを見た時にそれまで少しは受け入れる気があったのにデロリスを見た瞬間に猛反対するシーンがあります。子供のころは「派手なおねえちゃんが怖いのかな?風紀を乱すように見えたのかな?」と思ったのですが、今見ると、シスター達に有色人種は一人もいません。コケイジャン(白人)しかいないのです。もしかしたらなのですが、一目見てアフリカンアメリカン(黒人)であるデロリスを修道院に住まわせるのが嫌になったという人種差別を象徴するシーンなのかもしれないと思いました。だからこそ最後に修道院長と抱き合って喜ぶシーンは泣きそうでした。

しかし、私はこの映画を観て、子供のころからパブロフの犬のように泣いてしまうシーンがあって、それはウェンディ・マッケナ演じる、シスター・メアリー・ロバートが歌うシーンです。可憐で、麗しく、消極的な彼女はシスターたちが新入りのデロリスにそこまで話しかけない中(メアリーパトリックは誰にでも陽気なので例外)夜に寝られないの?と兄にもらった大事な目覚ましをプレゼントしてくれます。そんな心優しい彼女は声が小さく、讃美歌が上手く歌えないのですが、デロリスの教えによって声が出るようになり、聖歌隊のメインボーカルにまでのし上がり、最初にうわっと歌い上げて、「うわーどうしようおっきい声でうたっちゃったー」と恥ずかしがってる所でもうなんか泣いちゃうのですが、デロリスがギャングにさらわれた時にリノまで助けに行きましょうと口火を切るのも彼女で、わーデロリスに出会って、自信と勇気がついたんだなぁと思うとなんだかもう涙が出てしまうのです。

思ったより長々と書いちゃったけど、書き逃している事無いかな。
最後まで読んでくれた方はありがとうございます。
そんな事知ってるよ!って事から知らなかったーって方もいるかな?

大学の時はこれより堅苦しい文体ではありましたがたまにこうやって課題で映画の感想文とか書いてて、楽しかったです。提出期限は遅れたけど。ただ、大学に提出する感想文は文字数が決まってたので、こんだけ自由に好きなだけ感想かけるのはいいですね。
自分でも忘れちゃうからメモとる感じでまたそのうち書こうかな。

とにかく、「天使にラブソングを」は大好きな映画なので、ぜひ、観た事が無い人はもちろん、観た事がある人も、観返してみてくださいね!